「Mrs. Harris Goes to Paris/ミセス・ハリス,パリへ行く」
このスタイルのタイトルのハシリは,,『Mr. Smith Goes to Washington/スミス都へ行く』だろうか,,いろいろありそうだけど,,オジサン世代にはFrankie Goes to Hollywood だろうか,,これ,映画じゃないけど,新聞に載った見出しをそのままグループ名にした,とかよく言われてた.Frankieとは Frank Sinatra であります.
ハイ,この映画は,もうファンタジーの部類じゃないですかね,,
ディオールの建物に入っていくところは,それなりに起こり得そうなシークエンスなんだけど,その前の軍資金集めのところは,ないな,,という感じ.笑 つまり,,金儲けってすごい大変だということかな,,,一番現実離れしてる.
Harris夫人は,小包を抱えて,それが良い知らせかどうか悩む.そしてコイントス,しかし,コインと見る前に川に落ちてしまう.自分の人生は自分でドライブするしかない.
ディオールのドレスに魅せられた通いの家政婦ハリス夫人.絶対にディオールの自分だけのドレスを手に入れる! と決心する.
人は目的とか夢とかがあると違ってくる.単純に好きなことがあるってことでもいい.
めちゃくちゃ好きなテレビ番組があれば,その番組が始まる前に仕事は終わらせようとか,家事は終わらせよう,とか,行動の指針になる.
なーんも,好きなこと,目的,大きくは夢がない人は,人生をドライブする力がない.
そういう映画やったかな.
あと,,サルトルの実存主義の流れとか,いくつか,,わからないところがある.
==== ネタバレしてるョ (間違ってるかもだけど 笑
・Harris夫人
1944年から戦争に行った夫の行方がわからず,,13年.通いの家政婦をして暮らしてきた.
夫の戦死の確認がとれたとき,,顧客のタンスの中にディオールのドレスを見つけ,虜になる.
1着500ポンド.年収に近いお金,でもほしい.買う!
偶然,友人Archieの助け,いろいろ重なり,お金が貯まる.いざパリへ.
・パリ ディオール
夜にパリに着いたHarrisは,待合室で夜を明かし,ディオールへ.
10周年の記念コレクションが発表されようとしていて紳士淑女が並んでいる.偶然が重なり,中に入ってしまうHarris.
が,マネージャのColbertに見つかり,追い出されかける.
しかし,現金で買う意思を見せたので,資金繰りに苦しむ会計のAndreはなんとかHarrisを助けようとする.その場に居合わせたおとこやもめのChassagne侯爵がエスコートまでしてくれる.
・ヴィーナス,テンプテーション
コレクションのうち「ヴィーナス」に目を奪われるが,その後の「誘惑」に魅了され,即決.しかし,上客のAvalon夫人がその誘惑を注文してしまう.
Harrisはヴィーナスを注文,受け取って帰ろうとする.
・応援
数週間のフィッティング期間が必要,ということで一泊する余裕もないHarrisは,諦めて帰ろうとするが,張り子はHarrisのために仕事を急ぐだろうし,Andreが自分の家の空いている部屋をつかってくれ,と申し出る.
・仲人
Harrisは,会計士のAndreと,モデルのNatashaは,好き合っていると見抜き,二人を応援する.二人は当時話題になっていたSartreを読んでいるということで共通の話題ができる.
・Chassagne侯爵
侯爵とのディナーで飲み過ぎ,フィッティングに遅刻.フィッティングをマネージャーに拒否されるが,従業員たちは応援してくれる.
・Corbert
ドレスを買ったとしても何に使うのか,誰に見せるのか,とHarrisに問う.
・Andre
ディオールの経営が苦しいことを知る.新しいプランがあるが上層部に聞き入れてもらえないと嘆くAndre.おまけに,有名人にエスコートされるNatashaを見て落胆するAndre
・ストライキ
フィッティングに向かうと,顔見知りになった従業員が建物から出ていくところだった.彼らは経営難を理由に解雇されていた.
Harrisは皆を連れてストライキを主導する.Diorのところへ,Andreを連れていき,新しい計画について話を聞かせる.
結局,Andreの計画は受け入れられ,従業員は仕事が増えることで解雇されずに済んだ.
・後始末
Harrisは,Corbertの家を訪ね,ディオールにはあなたが必要と辞めることをやめさせ,モデルを辞めて,パリを去るというNatashaをみつけAndreとくっつける.
・ドレスの行方
ヴィーナスを受け取ったHarrisは,家に到着.すぐに,売れない女優である顧客が家を訪ねてくる.大事な日に着ていくドレスがない,と.
そこでドレスを貸してやる,,がその若い女はそのドレスを駄目にしてしまう.一度も着ていないのに.
落胆するHarris.
・贈り物
大きな包が届く.花も.ディオールの皆がニュースを知って,誘惑をHarris用に直して届けてくれたのだった.花は侯爵からだった.
・軍人会ダンス
誘惑をまとったHarrisはArchieとダンスを踊った.
===
・わからないところ その1
なぜCarre氏と仲直りできたのか,,
Harrisは,フィッティングに遅刻し,チーフのCarre氏にキレられてしまい,もうドレスは作らないと言われる.
が,,Carre氏は,Harrisと共通の話題を見つけた,,ということで仲良くなっていた.
Carre氏の理由の説明はフランス語でまったくわからず,,日本語字幕では「ボタンで何が悪いの?」だった,, うーん?
で,英語の字幕を調べると 「What could go wrong with buttons?」だった.
わかった.要は,ディオールの針子さんが,ボタンの縫製で苦労していたところに,「ボタンの裁縫で困ることなんてある?(ボタンの裁縫なんて(全部)簡単よ)」というような勢いでささっとHarrisがやってしまった,ということじゃなかろうか.
・わからないところ その2
Harrisが侯爵の家からぷぃっと出ていくところ.
自分のことをよく言ってくれていたのに,それは,過去優しくしてくれた掃除婦の思い出に重ねているだけだから,,という感じ,,で反感を持ったということ?
掃除婦のところじゃなくて,人間性についての共通点を語ったような気もしたけど,,ここはわからなかった.
最後,その侯爵からの花を嬉しそうに受け取っていた.(パリからロンドンまで,,そんなすぐに荷物が届くのか???)
・わからないところ その3
サルトルの実存主義,書物「存在と無」の使われ方.
表向きは,NatashaとAndreの共通の話題,ということであって,小難しい内容はどうでもよいのかもしれない.
が,しかし,,取りあげられ方がやっぱりアカラサマで,メッセージがないとは思えない.
高校の時の授業を思い出すと,サルトル→実存主義→実存は本質に先立つ,,このくらいは試験に出るということで暗記するレベル.
人間は,まず生まれて(実存する),そのあとで,目的が決まる,自分で決める(本質が決まる),つまり,実存は本質に先立つ,だ.
この映画は夢を持つこと,目的を持つことの大事さをテーマにしている.なので,実存主義でいうように,生まれてきているんだから,目的,夢を持たないと! という流れであろうことはなんとなく,わかる.
うーん,もっともっと何かありそうだけど,,わからん.
・わからないところ その4
最初,Harrisがディオールから出たときに,タイミングよくNatashaの車が通りかかる.これって,Natashaが狙ってきたのだと思っているけど,,それでOK?
受付場所で,Natashaは,AndreがHarrisに妹の部屋を提供するということを聞いていたので,HarrisはAndreの家にいくはず,,自分はAndreに気があるから,,という非常にスマートな戦略なわけだが,,
ちょっと自身が持てない.
・わからないところ その5
コレクションのショーで,白人以外のモデルが沢山登場.当時,,そんなことがありえたのか,,どうなんでしょう?
・わからないところ その6
駅で寝泊まりするホームレスも,実存主義,を知っていた.もしかして,,当時そのくらい話題だったのか,,
・見えない人
家政婦は見えない人.
Natashaが有名人とキスをする,映画のポスターが映る.「L'AMOUR INVISIBLE」.まぁ,,フランス語だがわからんことはない.笑 目には見えない愛,だ.Andre(ともしかしたらNatasha)の想いを表していそう.
HarrisはCorbertにも言われる.あなたは見えない人,そんな人がディオールのドレスを着てどうするのか? 見せる人がいるのか,,
しかし,そのCorbertも,質素な自分の家の居間で言う.自分は長い間偉大な男性(Dior)の陰にいた見えない女,だ,と.(さすが,Isabelle Huppert,めちゃくちゃ存在感ある.なんとなく無駄遣いっぽい気もしないでもないけど,一見嫌な奴キャラで,最後に人間味あるところを見せるってので,必要な存在感なのかも)
これは,見えない人,が,見えるようになる話,なんだろうか,,
貴族然とした金持ちだけが享受できた文化みたいなもの,オートクチュールなんてその代表.そんな時代が終わろうとしていて,見えいない人(大衆)が,また独自の文化を持ち始める.
Harrisの顧客が,持ち帰ったドレスをめちゃくちゃにされて凹むHarrisに何気なしに言う.革命が起こる,, 大衆文化のことだろうか.
パリにやって来ると,ストライキで街はゴミだらけ(ワタシがナポリに旅行したときまさにそういう状態で,ゴミが回収されずに街のあちこちに放置されてた),Avalon社に講義する人でいっぱい.最後そのストライキの結果,Avalon氏は逮捕され,Avalon夫人は「誘惑」を手にできず,,最終的にHarrisのもとへ,,と.
また,ディオールの中でも,Harrisによりストライキが起こる.
労働者が支配階級に物申す瞬間.
・ディオールの ヴィーナス
メトロポリタン美術館にディオールデザインのドレスでヴィーナスってのがあるみたい.
でも,1950年ごろ,となっていて,映画(1957年が舞台)のドレスとは関係なさそう.
ハートウォーミングなお話でした.悪い人が出てこない,ってのもおとぎ話として良かったかなぁ,,
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