「 Last Night in Soho/ラストナイト・イン・ソーホー」
控えめに言っても最高.最高.最高.
最初に,「For Diana」と出る.
あー,,Dianaさんっていう関係者の方が亡くなったのかな,,と思っていると,ヒロインのThomasin McKenzie(Eloise役)が,『My Fair Lady』のI could've danced all night よろしく機嫌よく踊っている画面に Diana Rigg と出る(その直前に,Terence Stamp,とも出て,おぉ,,っと思ってたら,,である).
Diana Riggさん,そういえば,ちょっと前にお亡くなりになってました.
最近の一番わかりやすい説明は「Game of Thrones」のOlennaじゃなかろうか,,もしかしたら,007の『No Time To Die』のボンド像にからめて,『On Her Majesty's Secret Service/女王陛下の007』のTracyですよ,,ボンドを射止めた女性を演じてました.
そんなわけで,「そんな」Diana Riggが,意味のない役では出てないだろうな,,って観てた.笑
映画の途中(第2幕っての?)で,あー,これAnya Taylor-Joy はミスキャストやろ,,と思ってたら,全部,まるくおさまった感じ.
==== ネタバレしてるョ (間違ってるかもだけど 笑
・Anya Taylor-Joy のキャスティング
なんでこの映画を観ようと思ったか,,それは,Anya Talor-Joyが出てるから,の一択.最初の夢のシーンで出てきて,数分はもう興奮しっぱなし.最高すぎる.撮り方もあるだろうけど,存在感抜群.台詞のやり取りもかっこいい.
で,,しばらくして,Sandiは,男に騙された女の子,である,という流れになる.
ここで,あれ,それはないやろ,と思う.そこまでの演出も結構,Anyaの圧倒的雰囲気そのままであったので,流されるだけ,の女の子にどうしても見えない.もちろん,役者なのでそういう役を演じていくのか,とも思ったが,どうもそうは見えない,,だって,Anyaだしなー,,,これって演出も配役もミスちゃうの,,と.
最後の最後,家主(Diana Riggですよ!)がEloiseが見てたSandiだったとわかり,あーー,だからこの配役に,この演出だったのね,と納得した.
彼女は被害者,犠牲者であったけれども,それだけではなかった.
で,Diana Riggもめちゃくちゃ重要な役だった.
・Terence Stamp のキャスティング
『The Collector』ですよ.『Teorema』もあったし,,ヤバい人,のイメージ.(『Superman』のゾッド将軍ってのもあったな,,)
そんで,演出を見ると,この人が,かつてのJackですよ,と,まぁ,普通思いますよ.
Sandiが堕ちていく過程で,刑事と話すシーンがあり,意味あるシーンのはずだけど,なんだろな,と思っていたら,,あー,この刑事だったのか,と.
やられた.Terence Stampなのに,,笑
・音楽
BGM/劇中,で流れる音楽を知ってると知らないとでは,かなり映画の印象が異なるのでは,,
ワタシは音楽に明るくないし,流石にリアルタイムで聴くこともかなわなかった音楽なのだけど,,なぜか,,ほとんど全曲知っていた.もともと,こういう感じの音楽が好きなのと,1960年代のロンドンってめちゃくちゃかっこいいイメージがあって,映画の映像がそれを裏付けた感じ(映画は,今,作った映像だけど).
Sandiが歌っているDowntownなんて,ほんとにいろんな映画やドラマで繰り返し使われてるんじゃなかろうか.そのくらい,作り手の人たちに影響を与えたんだろうか,ドラマの「Lost」での使われ方が印象に残っている.
深い歌詞の意味はわからないが,都会に出てくればなんかいいことあるよ,くらいの意味に思えて,すごく意思を持って都会に来る人もいるだろうけど,なんか,夢見がちな若者にとにかく都会に出たら何か?いいことがある,という危うい誘いのようなものを感じてしまう.
オープニングの「A World Without Love/愛なき世界」は,タイトルは知らなかったが,まぁ,聞きなじみがあった.スカーフ?がレコード(コレ現在よね,,レコードって,,)に当たり,同じフレーズを繰り返す.壊れたレコードみたいにってやつ.
そこにはなんか意味があるだろう,と思って歌詞を調べると,,劇中では
I know not when they come
を繰り返していると思うけど,ネットで出てくる歌詞にはそんなのはないんだな,,これが.いくつか歌詞のバリエーションがあるのだろうか.
彼らがいつ来るのかは知らない,ってのを繰り返していて,その直後に,郵便物が届いてロンドン行きが決まる.
Puppet on a String とか,画面と全く同期していたし,他のたくさんあった歌もきっと歌詞とかが場面とあってたんだろう.
・007
UKといえば007.
Eloiseは1965年にタイムリープ.最初に目にしたのが『Thunderball/ 007/サンダーボール作戦』の封切館.
Sandiは,Jackに名を名乗り,カクテル Vesper がほしい,という.
Vesperは,小説「Casino Royale」の登場人物にちなんで命名.レシピはボンドがオーダーするレシピにちなんでいるらしい.(Wiki調べ)
・怖い,,か?
ホラー要素もある.日常,顔のない不気味な男があちこちに見えて,ときには襲ってくる.刃物が出てきて流血を見ることもある.
が,,そこは,全く怖くない(おそらく,怖がらせようとも思ってない).
でも,怖い,心がざわつくところはたくさんある.それは,人の目,バツの悪い視線,,だ.
Johnを部屋に入れて,ベッドイン,ってときに,SandiがJackに殺される幻影?を見る.家主のおばさんが部屋に入ってきそうになる,あー,バツが悪いことが起こる,,それを想像したときの居心地の悪さのほうが,幻影よりも遥かに気になった.
ワタシが,人の目を気にする小市民な大人だからだろうか,,,
図書館で走り回るシーンとか,,やめてくれー.笑
・ニューロティックホラー
怖いところがあまり強調されないので,こちらも強調されていない気がするが,これはニューロティックホラーのフォーマット.
以前から,鏡の中に母親を普通に見ているような性格で,母親は精神を病んで自殺した,,母親の夢を自分が叶える,,その気持で,ロンドンへきたものの,,,,都会(と,人間)にのまれて精神状態を病んでいく.
十分に,虚実が混乱する条件はそろっている.Sandiの殺人現場の幻影も,悪友から中身がよくわからない飲み物を出されて飲んでしまっている,,いつでも,単なる思い過ごしだった,という言い訳ができる状態で物語は進む.
普通は周りに信じてもらえない焦りとか,イライラする感じが募るのだが,この作品はそこはそうでもない.そこは狙ってないのかな,,
・あぁ,勘違い
あの老紳士が,かつてのJackかも,と思うのは,作り手側の仕掛けだったが,ワタシが勝手に間違えたのが,,Sandiは,かつての自分の母親だった,というもの.
そう来るんかなーとか思っていた.ちょっと年齢が合わないなー,,とかつじつま合わせようとしばらく考えていた.(恥)
・ハスキー
女優でハスキーな声を自然に出してくれる人は信頼できる(笑),と思っていて,最近では,Jennifer Lawrence はすばらしい.『Silver Linings Playbook』のラストの「OK」というセリフなんか最高だった.
Eloise役のThomasin McKenzieも,いいな! と思った.
・That's a lovely name.
Sandiに投げられる,最も気持ちの入っていないセリフ.このセリフがめちゃくちゃ気持ち悪い.このセリフはもう使えないわ,,,,(使う予定も場面もないが,,)
・堕ちたSandi
夢見て都会へ出てくる女性.それを食い物にする男(女もいるかも).そんな連中にからめとられて堕ちていく,,というのは,ステレオタイプの話にも見えるが,(幸い)実際に身近に見聞きしたことはないが,,きっと,世界中のあちこち,現在過去未来,,あるんだろうな,,とは思う.
Sandiは堕ちた.普通の意味とは違ったレベルで.
自分を買いにやってくる男を次々と殺した(アパートの壁とか床下に押し込めたみたいだが,,腐敗して大変そうだけど,,??).人の命を奪っているところまでいくとは,,
・この映画のメッセージ
Eloiseは,すべてが分かったあとでも,Sandiを抱いて非難はしない.
殺された男たちの亡霊がEloiseにSandiを殺せ,と囁いてもそれは拒絶する.Sandiが,この男たちには死が値する,ということも否定しない.Sandiに生きろ,と語りかける.
このあたり,今まであんまりなかった観点じゃないかな,,
全体的にめっちゃくちゃよかった.音楽もいいし,Anya Taylor-Joyもハマりすぎるくらいだし.
IMDbのジャンルで Drama/Horror/Mystery/Thriller と,どれも本気じゃないけど,トータルですごくよかった.
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