「Nightmare Alley/ナイトメア・アリ-」
出演陣,豪華.監督はdel Toroだし.
Bradley Cooper racoonの声より,やっぱ実写で.
Cate Blanchett 威圧感ある役ぴったり
Toni Collette 何かしら,,普通の顔が怖い,,(失礼!)
Rooney Mara オフショットは怖いが,映画の中ではいつも可愛らしい
Wiilem Dafoe ほんまいい顔してる
面白かった.2時間30分,堪能した.
ストーリーは,ほぼ,,思ったとおり進んだ感じで,意外感は全くといっていいほどないけど,やっぱ見せ方なんだな,,と思う.
男が,人生やり直し,と,徐々にのし上がって,一線を越え,自分が作った虚像に飲み込まれて,もっとも忌み嫌った,もとの人生に引き戻され,落ちぶれる話.
嘘発見器が反応しないとき,,そこが人生のターニングポイント.
==== ネタバレしてるョ (間違ってるかもだけど 笑
酒浸りの父を凍死させて,家ごと丸焼きにして,唯一の金目の父親の時計とラジオを持って人生をやり直すStanton.
バスを降りたその場で開催されていた移動見世物ショーの,人か獣かといわれるGeekのショーについ魅せられ,,見世物商売のClemのところで働き出す.
かつての透視術の達人夫婦のPeteとZeenaからその技術を学びながら,自分の才能を自覚していく.
警察の手入れのときに,その才能で巧みにピンチを逃れ,自分の才覚に自信を持ち,かねてから好意を寄せていたMollyと一座を抜けることにする.
数年後,大きなホテルのショーで金持ち相手に透視術を披露していた.
そのショーを通して,判事と,彼をクライアントに持つ心理学者Dr.Lilithと出会う.
Lilithからの情報で判事を見事だまし,信じ込ませ,その判事から大物のEzraを紹介してもらう.Ezraを金づるにするために策を練るが,成功寸前のところで失敗.
Mollyに去られ,実は,Lilithにもカモられていたことを知り,警察から追われることに.
数年後,すっかり落ちぶれ,父親の時計とひと瓶の酒と交換する始末.見世物ショーへ舞い戻り,自分の持っていたラジオを鳴らすオーナーにGeekとして働くことを提案されたとき,Stantonは「オレはそのために生まれてきた」と薄ら笑うのだった.
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・堕ちていく話
もうすっかり,Film-Noir.ほとんど雨が降ったり,雪がまったり,夜だったり,,嵐が来そうだったり,快晴の絵が一つもない(もしかしたら最初はきれいな夕焼けだったかも).
ストーリーは本当にきれいに予定調和でレールの上を進む感じ.
立身出世の野望と,父親の時計とラジオを持ってバスを降りる.そして最後には,時計を酒のために手放し,自分のラジオを保持しているオーナーに仕事をもらいにいく.
酒を嫌っていたのに,最後はすっかり自分が酒に飲まれている.Ezraに偽の元恋人を見せることを決めたときから,Lilithの酒を受け取り,もう戻れない,とLilithに言われながら,自覚しながら,,観ている方としては,やっぱりなやっぱりな,,である.
・堕ちたとき
StantonはPeteに言われる.
一線を越えてはいけない,,自分が放つ嘘を信じてしまうようになる,,,そのとき,自分が力を持っていると勘違いしだす,,嘘をつき続け,しまいには神の御前で裁きを受ける,,
Stantonは,判事を通じてEzraを紹介される.Ezraは,疑り深く,Stantonを嘘発見器にかける.
しかし,,死んだ人の霊と交信するところでは,嘘発見器は反応しない.なぜか,,それは,その時点で,Stantonは自分の嘘を,自分で信じてしまっているから.
面白い描写だと思った.
・女性たち
ポスターを見ると,Stanton, Zeena,Lilith,Molly である.
最初,Zeenaとよろしくやり,Peteを邪魔だと思って殺し,Mollyと逃げる,という展開かと思ったら,,違った.
Mollyにしても,関わり合いは,普通,だった.
が,,Lilithは違った.最初っから仕組まれていたんだろうか,,そういう感じだったが,,,お見事,というところか.
ただ,Stantonが金儲けして,その金をLilithに預けると言う辺りは,まったく予見できないことのはずだし,,そういうふうに仕向けた感じもしない.金は関係ない,という会話も出てきた.
もしかして,最初ホテルのショーで出会ったとき,StantonはLilithに向かって,自分は力があると思っているとしたらそれは間違いだ,という(マウントをとる)のだが,最後,Lilithは,Stantonに,私はあんたに比べて十分に力があるかしら?と,マウントを取り返す.
このプライドのために,LilithはStantonを陥れたのだろうか,,
そうそう,,Lilithは胸から腹にかけてすごい傷跡がある.それは,昔,権力者に対して間違った接し方をしたから,,そんな目にあったということなのか,,アレがなにかわからなかった.
金が目的でない,つまり,Ezraをやっつけてほしかった,ということかと最初思ったが,それも辻褄が合わないか,,つまり,,Ezraはさんざん女性にひどいことをしたと言っていた.その中のひとりがLilithなのか,,な,,と.だから,Stantonを使って,Ezraに仕返しをしようとしたのか,,と.うーん,,あの傷,,何だったんだ,,
・Pete
ZeenaはPeteを愛していたんだろう.ほんとに悲しんでいるように思えた.Stantonは,アル中のPeteをみて,自分が憎んでいた父親を思い出したんだろうか.Zeenaを開放してやるためにPeteを殺したんだろうか.
あの赤の箱に入った酒をPeteに渡したのは,故意だったのか,ミスだったのかワタシはわかってない.
ワタシは,Stantonはちゃんと青の箱から取り出したのだが,誰かがそちらに違う方の酒を入れていた,,ということだと思っていた.Stantonはちゃんとお金をオフィスグリコよろしく,ちゃんとボックスに入れている.意図して毒になる酒を選んだのならそんなことするだろうか.
後に,Lilithとのセッションで,自分が酒をPeteに渡し,それはミスだった,と言っている.違う酒を渡したということなのか,渡した事自体がミスだと言ったのか,,どっちだろう,,,
酒飲みに,酒を渡してしまった,,,という素直なミスだが,Lilithは,それを意図的にか,カーニバルで殺した男,と参照している.
あの夜,Peteに酒を持ってきてくれと言われる → 酒を持って帰る → Peteは眠りこけていて,ネタ帳を見ようとする → Pete に咎められる,,という流れである.この咎められたあとで酒を持ってきたのなら意図的に違う酒を渡したということも成り立つかもだが,,
ミスで,おそらく自分のせいでPeteは死んだ,と悔やんでいて,それをLilithに見抜かれた,ということか,,,親殺し,と重なるところがあるんだよな,,
・当たった見立て
この映画のタイトル,いかにもなFilm-Noirの流れ,,で,Clemとの食事シーンで,Geekの見つけ方(つくり方)を聞くシーンで,まずは,「一時的な仕事」としてやらせる,という下り,これは,落ちぶれてStantonがNightmare Alleyにたどり着き,一時的な仕事としてオファーされるんだろうな,,と思ったら,ばっちり最後のキメのところで出てきた.ほんと思った通りの展開だった.
・末路
酔っぱらいで嘘つき,母にひどいことをした父親.そのため,自分は酒を飲まないでいたが,,結局,嘘を付きまくり,嘘で得た虚像を本物と思い込み,アル中となり,Geekとなるべく戻ってきた,,つらすぎる,,
・自分の嘘に飲み込まれる
これは現在あちこちで起こっている気がする.一人の人間が,ということではないが,,,
最初は,自分で嘘,とわかりながら嘘をつくのだろう.しかし,その嘘が広がり,嘘の世界が立ち上がり,やがて,自分もその嘘を信じるようになる,,
陰謀論のたぐいがそうじゃないだろうか,,,
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